時効の援用って一体何?
4年前に住宅ローンの審査時に大変お世話になったハウスメーカー社長に、教えて頂いた審査通過のノウハウの一つ、時効の援用について詳しく解説していきたいと思います。
尚、時効の援用は本来、法律用語が多く使われ非常に分かりづらいので私流の言葉にて説明することをご了承ください。
時効の援用とは簡単に言うと、借金の時効(5年から10年)を待ってから一定の手続きをすることで、その借金を帳消しにできる制度です。
時効の援用を高確率で成立させるために下記の3つ条件を確認することが重要となります。
1.債権の消滅時効が所定の期間を経過しているか
債権によって時効期間が違いますので、自分の債権の種類が消滅時効の期間が経過しているかしっかり確認しましょう。
時効期間5年
消費者金融のキャッシング、銀行のカードローン、信販会社のクレジットカード
時効期間10年
信用金庫、信用組合、労働金庫、奨学金、個人間での貸し借り、過去に裁判をされた債権
2.債権の時効期間まで連絡や支払いを一切していないこと
債権の時効期間までに、連絡を一切していなことが条件となります。
時効の成立が失敗するケース
- 電話で支払いの意思を伝えてしまう
- 書面で借金があることを認めてしまう
- 少額でも振り込んでしまう
例えば、電話や書面で支払いの有無を問われ、時効が成立する5年を目の前に少額の支払いをした場合、「返済の義務を認めた」と見なされ時効期間がストップしてしまい、全て振り出しに戻ってしまうので注意が必要です。
3. 債権者に裁判を起こされていないこと
債権者に裁判を起こされると、今までの経過した時効期間が全てリセットされますので、再び時効が成立するまでに5年から10年待つことになります。
踏み倒しなどで、契約時の住所と現在の住所が変わった場合は、裁判所から届く書類が確認できないので注意が必要です。
時効の援用を成立させるメリットとは?
時効の援用を成立させることによるメリットは以下の通りです。
時効の援用を成立させるメリット
- 時効の援用が成立すれば対象の借金が無くなる
- 督促状が来なくなり、自宅へ訪問されることもなくなる
- 個人信用情報から対象債権のネガティブ情報(ブラックリスト)が抹消される
時効の援用に掛かる費用ってどのくらい?
時効の援用に掛かる費用は、弁護士に依頼した場合とご自身で手続きを行った場合、金額に雲泥の差があります。
もちろん、私的にはご自身での手続きをお勧めしてます。
下記は弁護士に依頼した場合と自分で手続をした場合の比較表です。
時効の援用に掛かる費用 | 自分 | 弁護士 |
基本料金 | 84円 | 3~10万円 |
一般書留の加算料金 | 435円 | - |
内容証明の加算料金 | 440円 | - |
配達証明 | 320円 | - |
合計 | 1279円 | 3~10万円 |
時効の援用が成立するまでの流れ
金融機関から借入をして、時効の援用が成立するまでの流れを下記にまとめました。
時効の援用が成立するまでの流れ
- 自分の借金の時効期間を確認するため、個人信用情報(JICCとCIC)を開示する
- 時効期間を確認後、「時効援用通知書」を作成(もしくは依頼)する
- 郵便局に出向き、内容証明付き郵便で時効援用通知書を債権者に郵送する
- 郵送後に債権者から連絡が来ない場合、時効の援用が成立する
- 時効の援用が成立したことを確認するため、約1ヵ月程待ってから再び個人信用情報(JICCとCIC)を開示する
- 開示した個人信用情報から該当する債権が抹消されているか確認する
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時効援用通知書を自分で作成してみる
今回、ご自身で時効援用通知書を作成できるようにテンプレートを用意しました。
これは、私がハウスメーカー社長から伝授されたテンプレートを自分なりに手直ししたものになります。
ぜひ、ご自身で手続きする際に参考にして頂ければと思います。
時効援用通知書を作成する前の確認事項
内容証明付き郵便は文字数が決まっていますので、必ず下記の表の文字数を守って作成する必要があります。
赤枠は私がテンプレートで使用している文字数になります。
文字数 | 行数 | |
縦書き | 1行20文字以内 | 1行26行以内 |
横書き | 1行13文字以内 | 1枚40行以内 |
横書き | 1行20文字以内 | 1枚26行以内 |
横書き | 1行26文字以内 | 1行20行以内 |
時効援用通知書を作成する前に下記の項目を確認してください。
作成前の確認事項
- 内容証明付き郵便の文字数は必ず守る
- 印鑑は認めでも可能(ただし、シャチハタは不可)
- 時効援用通知書は同じものを3部用意する
私の経験上、手書きよりパソコンでの作成をお勧めしております。もしお持ちでない場合は手書きでも可能ですが、修正に手間が掛かります。
また、郵便局にて文字数の確認や誤字脱字を修正される場合がありますので、必ず認印を持って行くようにしてください。
その場で修正することがありますので…。
時効援用通知書のテンプレート
こちらが私が実際に使用している時効援用通知書のテンプレートになります。
こちらを参考に文書を作成して頂ければ、時効の援用が可能となりますので、ぜひご活用ください。
消滅時効援用通知書 前略 貴社との平成〇〇年〇月〇〇日契約の金銭貸借 なお、万一にも貴社において時効中断の処置を講じてい 貴社におかれましては、本書面を受領後速やかに信用 令和〇年〇月〇日 通知人 青森県〇〇市〇〇 被通知人 京都府〇〇市〇〇 |
時効援用通知書に必要な項目
自分で時効援用通知書を作成する場合に下記の項目を入れる必要があります。
時効援用通知書の必要な項目
- 借入の内容を特定する情報
- 「時効が完成している」という文章
- 「時効を援用する」という文章
- 日付(文章作成日)
- 通知人の住所、名前
- 被通知人の住所、会社名
私の時効援用通知書のテンプレートでは、借入内容を特定する情報が、借入した契約日と通知人(借入人)の住所、氏名の情報しか入れていませんが、これだけも十分に特定ができます。
ただし、契約日の思い違い(記入ミス)や契約した住所と現住所が異なっている場合は時効の援用が失敗に終わりますので、十分に確認してから作成をしてください。
時効の援用についてのまとめ
ここまで読んで頂ければ、ある程度「時効の援用」についての知識が備わったと思います。
私はご存じの通り、お金も全く無い貧乏人でしたので、自分でできることは全て自分でやるという精神で生きて参りました。
この時効の援用の手続きに関しては、コツさえ掴めば弁護士に高いお金を出して依頼する必要もなく、ご自身で約1,500円もあれば全ての手続きを完了することができます。
この時効の援用を利用して、新たなライフスタイルを築いて頂ければ幸いです。
もし、ご自身での手続きが行き詰まったり不安がある方は、費用は掛かりますが安心して待つだけで手続きすべて完了してくれる弁護士に相談してみてください。